正常な歯並びやあごの発達のために、大切なことは何でしょうか?
■正しい姿勢が一番大事
安静時に正しい姿勢をとることで、舌や唇の位置が正常になります。それが良い呼吸(無理のない鼻呼吸)につながり、正常な歯並びや噛み合わせの発育の第一歩となリます。また、食事中に足が床などについているなど、食事の姿勢や食べ方も大事です。頬杖や日常的に悪い姿勢、うつ伏せ寝など、筋肉や骨格に異常な圧力がかかるような習慣は、悪い影響を与えます。また、近年子どものスマホやゲーム機の使用が増えていると言われていますが、長時間使用することで、前かがみ姿勢となリ、ロ呼吸となることがあります。このことも口周りの発達に影響します。
■よく噛もう
前歯で噛み切リ、左右の奥歯を使ってよく咀嚼することが大事です。適度な一口量で、口をとじて食べることで口周りの筋肉を強くすることができます。飲み物で流し込まず、食べ物がなくなってから飲み物を飲むことも大切です。親としては、汚れるのを気にして一口サイズに切って出すことがあるかもしれません。しかし、子どもはかじりとる動作により、一口量を学びます。かじりとる動作は、下あごを前に出して上下の前歯で噛み切るので、正常な噛み合わせの発育につながります。さらに唇をうまく使うことで、口唇の機能発達にもつながります。また、調理法や食べ物の大きさは月齢を基準にして考えがちですが、お子さんの歯の生え具合などに合わせることが望ましいです。小さくしすぎたリ、柔らかくしすぎたりすることがかえって歯並びやあごの発達に悪い影響を与える可能性もあるので、子どもの口の中の発達に合わせながらメニューを考えられるといいですね。
■口をとじる習慣をつけよう
口をとじることにより舌が上あごの裏にぺったりくっつき、上あごの発達をうながします。逆に口があいてしまうこと(ポカンロ)で、唇が緩み、前歯が前方に傾斜し、舌の位置が下がります。これにより、上あごが狭く深くなり、歯並びが狭く、上あごが前に出る傾向が強くなります。
●ポカンロによる口呼吸の影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・ロの中が乾燥し、唾液による殺菌作用や緩衝作用が発揮されず、虫歯や歯周病になりやすい。
・鼻の粘膜や扁桃リンパ腺でのフィルタ ー機能が失われ、ウイルスが直接体内に取り込まれてしまうため、感染症を引き起こしやすい。
~コロナ禍によるマスクの長時間着用で、息苦しさから口呼吸が増え、習慣化してしまっていることがあるようです。~
●ポカンロが気になったら?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
▶鼻がつまっている場合
耳鼻科の受診と治療(鼻炎やアデノイド肥大などが原因である可能性もある)
▶口腔周囲筋(口周リの筋肉)の筋力不足が原因の場合
ストレッチや唇の周囲の筋肉を向上させるトレー ニング (あいうべ体操など)を行います。
▶指しゃぶりや下唇をかむなど、口周りの癖が原因の場合
それぞれの癖・習慣への対処を行います。
※癖の場合は叱って強引にやめさせることをせず、本人の様子や周りの環境変化などを観察しながら対処しましょう。
▶その他、かみ合わせが問題となっている場合もあり、原因がわからない場合は、歯科医院で相談して原因と対応を探してみましょう。
(取材協力:はるいろファミリー歯科 院長 和田垣 龍先生)